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シンエヴァネタバレ感想/たぶんこれでラスト/綾波レイのこと/少しアスカのこと

シンエヴァ公開終了ということで。

興業収入100億突破、本当におめでとうございます。

結局わたしは一度しか観に行かなかったというか観に行けなかったし、おそらくソフト化してもしばらくは観ないだろう。何度か感想を書いたが、わたしは新劇場版のターゲットから外れてしまったので……もう少し時間を置いて、人と一緒にワイワイ言いながら観たいと思っている。

さて、今さらだけど一つシンエヴァ感想に書き漏らしていたことがあった。
綾波レイのことである。
綾波レイアヤナミレイ(仮称)のことである。


シンエヴァ前半では、アヤナミレイ(仮称)と第三村の住民との交流が多く描かれる。
数ある綾波タイプのうちの一体であろう彼女が、自分自身の嬉しいことややりたいことに出会い、自己を確立していく……というストーリーだ。
この描写で思い出したのは、新劇場版『破』
のパンフレット掲載の鶴巻和哉監督のインタビューである。

(前略)TVシリーズのときは3人目のレイがうまく描かれていないという想いも僕にはあったので、2人目のレイは『破』で死んでしまった上で、『急』ではむしろ3人目のレイのドラマを濃厚に描きたいと思ってたんですね。
(中略)
「先代のレイがいた」っていう事実と意味を3人目のレイが自覚しながら、クローンとしての自分がどう一個人として自立するのか。そんな物語として描きたいと思っていました。でも「レイは死なさない」ということになって(後略)
«新劇場版:破 パンフレット 鶴巻和哉監督インタビューより引用»

NHKのドキュメンタリーで描かれた制作現場から想像するに、新劇場版のストーリーは最初から最後まで計画的につくられていたわけではなく、都度組み立てられている。
上記のインタビューから読み取れるのは「次作以降で3人目をメインに描く案もあったがそれはボツになった。「急」では、「破」で死なせなかった2人目のレイについて描こう」という考えである。
だが、実際に発表された「Q」には「破」で生存した綾波レイはほとんど姿を見せず、アヤナミレイ(仮称)が新たに登場した。
結局インタビューでのもともとの鶴巻案に近いもの(「急」では3人目のレイを描く)が採用された形だ。しかしその一方「Q」においてアヤナミレイ(仮称)のドラマといえるものはほとんど存在しない。ようやく彼女自身の物語が描かれたのが、「シンエヴァ」の第三村パートなのである。

しかし果たして、アヤナミレイ(仮称)は綾波レイのクローン的存在から脱却し、一個人として自立できただろうか。

シンジに名付けを頼んだが、結局名前をつけてもらえなかった、というのも残酷だが、それ以上に悲しいのが、終盤のロングヘアー綾波の描写だ。

「破」で生存ルートに入ったと思わせておいてその実「シンエヴァ」終盤までほとんど出番のなかった「もともと新劇場版に登場していた綾波レイ」は、ロングヘアー姿で再登場する。
このロング綾波が、ツバメちゃん人形を抱えているということ。
ツバメちゃんとの交流はもちろんアヤナミレイ(仮称)独自の経験であり、綾波レイはツバメちゃんとはなんの関わりもない。
にもかかわらず綾波レイがツバメちゃん人形を抱えているのは、アヤナミレイ(仮称)の経験や思いが綾波レイに吸収されてしまったような印象を受けた。
というか綾波クラウドシステムかなにかでアヤナミレイ(仮称)と同期したということなのか?
このあたりが裏宇宙理論を持ってこられてしまうと何でもアリになってしまい、うまい理屈がつけられない。

ただ、アヤナミレイ(仮称)自体が一個人として自立、独立していたとしても、結局その経験や思いを上位存在に同期されてしまうのだとしたら、それはなんだかやるせない話だとおもってしまうのだ。

例えばシンジとアスカの赤い海の砂浜のシーン、あの海が旧劇のラストシーンに酷似していることから、「あのシーンのアスカはかつての惣流・アスカ・ラングレーも含めた「すべてのアスカ」の象徴」といった感想・考察を何度か見かけた。
だが、かつて旧劇で他者との同化を拒んだ惣流・アスカ・ラングレーを、よく似た姿の別人である新劇場版アスカ(※惣流と式波は生い立ちがあまりにも別物なのでいっそ別人カウントしてもいいと思っている)に同一視するのはなんだか残酷な気がして仕方ない。砂浜式波が惣流の要素を含んでいたとしても、その式波が救われたことをイコール惣流の救いとするのはどうなのか、という……

結局アスカの話になってしまった。



閑話休題

アヤナミレイ(仮称)個人の経験や思いは確かに存在したのに、最終的に綾波レイという枠組みにまとめられてしまったように見えるのが悲しいし、

綾波レイは「破」で生存ルートに進むことが出来たハズだったのに、結局「Q」以降ほとんど表舞台にあがることはなく、別存在のアヤナミレイ(仮称)の思いを同期されてしまったように見えるのも、なんだか悲しい。




う~~~~ん、わからん、終劇